『おだてにのるな』

「なあ、カンクロウ、お前結構器用だよな」
「なんだよ、気色悪い」
テマリがほめるとロクなことがない、と経験ずみのカンクロウが構える。
「素直じゃないな。いや、ちょっと、このからまったヘッドホンのコードほどいてよ」
「なんだ、そんなことならお安い御用じゃん」
傀儡の包帯巻で一度もへぼったことのないカンクロウにはこんなことは朝飯前。

「サンキュー」
テマリはるんるんと曲を口ずさみながら部屋を出て行く。
入れ違いに我愛羅がカンクロウのところへやってきた。
「‥‥たっての頼みがある、兄貴
「‥‥俺にか?」
珍しいこともあるものである。しかし「兄貴」と言われて悪い気はしない。
「いいじゃん、なんだよ」
「‥‥じゃあ、こっちへ来てくれ」

二人は洗濯機の前にいた。
「‥‥これだ」
「これって、もう洗濯は終わってるじゃん」
「‥‥カンクロウ、お前は巻き付けたりほどいたりが得意だな。」
「‥‥」
「じゃあ、あとはよろしく」

砂忍と言えば道具使い、そしてその道具はすべからくたすきで背負われる決まりになっている。
そして今日はそんな彼らのユニフォームの洗濯日。
洗濯機の中にはからまりまくったたすきがうじゃうじゃ。

本日の教訓:おだてにのってはいけません。とくに相手が我愛羅の場合は。

 

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