寝起き
ごろん、ぼすっ
目が覚めてもうちょっと、と思って、寝返り打ったらなにかにぶつかった。
布団にしてはかたいな‥‥
ん?
目を開けたら、えっ、背中?
あ、あ、あっ、そ、そうか‥‥////
誰も見てないのに急にすごく恥ずかしくなる。
窓の外が明るいからはっきり見える、大きな背中。
寝息を立ててるから、規則正しくかすかに動く。
そうだっけ、そうなんだ、このヒトと朝目をさまして一番に出会うのか。
‥‥
ヒジョーに照れくさい。
でも、正直、オトコノヒトと同じ朝を迎えるというのは、なんともいえず安心感があるもんなんだな‥‥
「‥‥おい、
」
聞こえた、確かに、カレの声だ。
「な、な、なにっ」
寝てたんじゃないのか。
声がうわずる。
「‥‥あのさ、あんまり、見ないでくんない‥‥
の視線感じすぎてそっちむけねえじゃん‥‥////」
そ、そうか、視線ってなぜか感じるものよね。
「ご、ごめん、つい」
ぷいっと、反対側をむく。
ごそっとこちらをカレが向いた気配。
沈黙。
今度はこちらが背中に視線を感じる番だ。
「ちょ、ちょっと、ねえ、カンクロウ」
「‥‥なんだよ」
「あんまし、見ないでくんない‥‥///」
「あ、ああ、そうか。
悪い‥‥」
ごろっと反対を向いたようだ。
お互い背中合わせで沈黙。
「「‥‥あのさ……」」
ぷっ、なんかバカみたい。
おかしくなって、どちらともなくクスクス笑う。
ふんぎりつかなくて相手の顔を見れない、すごく見たいのに。
「ね、そっち向くよ‥‥」
「ああ‥‥」
ころん。
目は‥‥やっぱ、開けらんない。
閉じたまま、もぞもぞと彼の方へ体を寄せる。
そっと腕が伸びて来て、私の体を抱きとめる‥‥ははは、薄目開けてるんだ私、見えてんだから。
ちらっと、上目遣いでカンクロウの顔を見たら、うわあ、本人だ、当たり前なんだけど、だけど、‥‥
すんごく優しい顔‥‥
彼の腕の中に収まって、心臓の鼓動が聞こえてきそうなくらい、胸に顔を近づけている私。
頬が熱い。
そっと、ほてった頬をカンクロウのたくましい胸にひっつける。
回された腕に力がこもってぎゅっと抱き締められる。
恥ずかしくって、でも嬉しくって、幸せで‥‥
初めてカンクロウと同じ朝を迎えた夏の日。
もう少し、もう少しだけこうしていよう。
同じ景色を彼と見ていたいから。
同じ感情を共有したいから。
*閉じてお戻りください*
蛇足的後書:え、サギ師って?カンクーじゃないって?すいません(ーー;)
まあ、こうゆう、ほのぼのもいいじゃないですか!
性ってなんと言うか、こういう実に素朴な一緒にいられて嬉しい、みたいな感情と隣り合わせなのが理想だと思うんで。