見解の相違

会う度っていうのもなんか、いいのかなあ、こんなの‥‥
「い〜んだよ。
別に毎日会ってるわけじゃないし、お前もおれも普段やるべきことはやってるしよ。
ちゃんと避妊だってしてるじゃん。
逆にオレが聞きたいね、なんでだめなんだよ。」
えっ、そ、それは、なんでって、え〜と、なんというか、なんか、動物みたいじゃない‥‥
「動物じゃんか、人間だってさ。
大体10代後半の男なんて、一皮剥けばケモノだぜ〜、
えっ、そ、そうなの
「マジウケすんなよ、ま、半分は本当だけどよ。
ちなみに動物には発情期があるけど、人間にはないぜ〜、年中無休じゃん。
それ考えりゃ、これでもおさえてんだけどなあ」
‥‥うそでしょ、ちょっと。
「フン、男と女の差なんじゃないのか。
じゃ聞くけどよ、 、お前はヤリたくなんねえの」
え‥‥いっしょにいたい、とは思うけど‥‥
「じゃあ同じじゃん。
これって、究極のいっしょ、だろうが」
そ、そうね、まあそういうことなのかな‥‥
「だーっ、本当に は頭でっかちだなあ、理論で納得しなきゃ納まりがつかねえんだな」
悪かったわね!!!そういう性分なんだもん、仕方ないじゃない!!!
がばっ、とカンクロウが跳ね起きて、わたしの目の前に人さし指をつきつけた。
「よし、じゃあ、お前からどうしてもやりたい、って言ってくるまで次はやんないじゃん」
え、そ、そんなこといってたら、ずっとないかもよ?
今までだって、ずっとカンクロウがリードしてきたんだもん‥‥
「だ・か・ら、言ってんじゃん。
俺だって、たまには迫られてみてぇもんな、フン。」
うそばっか、攻めの方が好きなくせに‥‥よく覚えてないけど、いつだったか、私が迫ったらヘタレてたじゃない。
「うるせ〜よ、とにかく、決めたからな。
我慢できなくなったら、そのプライド捨ててちゃ〜んとお願いしてもらうじゃん」
そんなことになるのかなあ、あり得ない気がするけど‥‥

次の休みの日。
待ち合わせて、映画に行って、お茶して、ぶらぶらウィンドーショッピングして、って定番のデートなんだけど、なんかいつもと違う。
こころなしか、カンクロウがよそよそしい。
「ねえ、‥‥こないだのこと怒ってんの?」
「別に怒ってないじゃ〜ん、実行してる・だ・け」
あ、そうか、そういえば、要所要所でカンクロウからさわってきたり、キスしてきたり、そういうのが一切ないんだ。
今までもう、当然みたいに思ってて気が付かなかった‥‥
じゃあ、私からすればいいのか、と、頭ではわかってても、これが難しい。
どうしてもタイミングがずれちゃって、うまくできない〜。
結局その日はな〜んか、気の抜けたコーラみたいなまま、別れちゃった。

その次の時も、そのまた次も、カンクロウは決めたことを律儀に守ってくれて、まるでお見合いのようなデートが続く。
家にいきなり来て、ってのも全然ない。
もう、こんなのやだ〜、カンクロウじゃないよ!!
もっと、スケベで下心みえみえで、あつかましくって、ずうずうしい、そんなカンクロウに戻ってよ!!
‥‥『ちゃんと、お願いしろよ』とか、言ってたなぁ。
ああ、どういえばいいのかな、「もとどおりのスケベなカンクロウに戻ってよ」とか?
ちょっとあんまりな頼み様よね、それに、『じゃあ、具体的にどうしろっての』とか、意地悪く聞いてきそう。
ああ、そうなると、我ながら歯がゆいんだけど、うまく言えっこないのよね‥‥
私って本当にズルイなあ‥‥万事カンクロウ任せのくせに、ゴチャゴチャ難くせつけてばかりで、カンクロウのこと、変態とか言ったりしてさ‥‥
ああ〜っ、困った‥‥
そ、そうだ、前回おまじないで使った手があった!
弱いんだからアル中になる前にやめろ、とか言われてやめてたんだけど、今回1回だけ、助けを借りよう。

はたして。
待ち合わせの公園のベンチで緊張しつつカンクロウを待つ私。
珍しく遅いな‥‥カンクロウって、意外にも時間に正確だったりするのよね。
今日は何か急用でも入ったのかなあ、だから携帯くらい持ってくれりゃいいのに、任務に差し支えるからだめらしい。
そりゃ、立ち回りの最中に着メロがなったら話にもなんないわよね。
まあ、いいけどさ、ちょっと待つくらいの方が、緊張がほぐれるし‥‥
ありゃ、もう一缶飲んじゃった、ちょっと飲み過ぎ‥‥半分でやめとこうと思ってたんだけど‥‥ま、いいか。
ふわぁ〜、眠たい、ゆうべごちゃごちゃ考えててあんまりよく眠れなかったからなあ〜‥‥
まだ、来ないかなあ‥‥

「おい、おいっ、 、何寝てんだよ、起きろよ!!」
ぐらぐら揺すられてる、なあにぃ〜、あ〜、カンちゃんじゃん。
「んふふっ、おはよ〜、カンちゃん〜」
「おはようじゃねえじゃん、何無防備にこんなとこで寝てんだよ、‥‥って、お前、飲んでんのかよ?!」
「ちょっとだけ〜、自分にぃ、カツいれよ〜と思ってさぁ〜」
「バカヤロ、やめろって言ったじゃん、あぶねぇから」
「だから〜、今日だけだよ、ずっと飲んでなかったもん。
今日は‥‥あやまんなきゃだめだから〜、カンクロウにさ。
いろいろ考えたんだけどぉ、やっぱ、スケベなカンちゃんの方が好きなのぉ(ちょっと、全然うまく言えてない!!!)。
ごめんなさい、いっつも頼ってばっかのくせに‥‥自分からモーションもかけらんないくせに、カンクロウのこと、スケベとか言ってさ‥‥スケベにもなれない、自分は、サイテー‥‥ごめん‥‥
しらふで謝りたかったんだけど、絶対うまく言えないからぁ、‥‥‥‥飲んじゃって‥‥」
感情のタガがはずれちゃったらしく、涙腺も緩んできてもう支離滅裂、泣いてんのか、謝ってんのかわかんない。
じっと私をみてる緑の瞳が正直痛い。
あああ、もう絶対ケーベツされてるわ、ちゃんと謝ることもできないなんて、ほんっと、サイテーよ、もう。
「じゃ、今日は、か、かえるね‥‥こ、こんなんじゃ‥‥みっともなさすぎ‥‥次、は、ちゃんとしてるから‥‥ごめん。」
ふらふら立ち上がったとこを、ぎゅっと抱きしめられた。

「‥‥またぁ、そんな優しくしたら、 は、つ、つけあがっちゃうよぉ〜‥‥」
いいながら、私も手をカンクロウの背中にまわす。
「寂しかった‥‥んだもん。全然かまってくれないから、なんか捨てられた子犬みたいでさ‥‥」
ちょっと、あたし、こんなこと言うつもりないのに、やばい、アルコールの勢いに負けてるよ、自制心がきかないじゃない!!
「もっと、触ったり、エッチなこと言ったり、キスしたり、抱きしめたりしてほしいの〜」
ぎゃあああ、モロ、言ってしまった!!!!!
い、いや、言えたんだからいいようなものなんだけど、あまりにも露骨で、ちょっと、どうしよ‥‥
カンクロウがじっと私の目を覗き込んできて、ニヤッと笑う。
「正直大いに結構。
よ〜く言えました、でっかい花丸やるじゃん」

ベンチに転がってたチューハイの空き缶を手にすると、こっちを流し目でみながら、チュッとして、
「サンキュー、あんたのおかげで の口割らせられたじゃん」
カッ、と私の顔が熱くなる。
それを確認するみたいにニヤニヤしながら、私を軽々とかかえて‥‥
ひゃあ、出た、忍術飛び!!
は、早い、アルコールのせいもあって、もう目がまわっちゃうよ。
あっという間に、あれ、ここ、どこ?
ひょっとして、カンクロウんち?
「どこ、ここ、って顔じゃん。まあ、忍び専用の休憩所とでも言っとこうか。
オレんちにはさすがに連れてくわけにいかないからな。
一般人連れ込みお断り、じゃん。」
へ、そうなの。
「冗談じゃん、だけど、なにかもめ事があった時、関係ないお前にまで迷惑がかかる可能性がでてくるからな。
拷問とか、やだろ」
ご、ごうもん‥‥
「ひゃははは、うそだって、ホント、 はからかいがいがあるな」
もう〜、でも、なんか、いつものカンクロウにもどってる、嬉しい‥‥
「な、さっきの、お前のホンネだろ?」
え、ああ、え〜と、う、うん、そうでございます‥‥けど、あんまり、言わせないでよ‥‥恥ずいよ‥‥
「アルコール様さま、じゃん。じゃあ、めでたく禁欲期間打ち切り。
俺だって、めっちゃくちゃつらかったんだからな!!
もうストレスたまりまくりじゃん、覚悟しとけよ!!!!」

私の手をぐいっとひっつかんで、ど、どこいくのかと思ったら、シャワー室。
「ほれ、脱ぐ!」
ちょっと、子供にするみたいに、や、やめてよっ、頭から服をひっぺがすの〜!!
「素直に脱がされてりゃいいんじゃん、テーコーすんなって、今日は暑かったからきれいにしょ〜な、ん?」
うぷ、いきなりのキス‥‥ああ、すっごい久しぶり、やだ〜、もう、嬉しくって泣けてきちゃうよ〜
「泣くなよ〜、俺も泣くぞ〜」
げ、うそ‥、思わず目を開けてカンクロウを凝視してしまう。
「バ〜カ、本気にする奴があるかよ、ったく面白いな、 は」
ぺろっと私の涙をなめながらニヤついてる。
こっちが赤面するのを、絶対楽しんでる、コイツは!!
で、でも、いつものカンクロウで、翻弄されるのも、なんか、もう嬉しいよ。
「目、閉じるの」
手で無理矢理まぶたをおろされる。
うわ、目隠し、ですか‥‥ま、さるぐつわよりましよね。
残りの服をわざとあちこちさわりながら脱がしていくカンクロウ。
「か〜わいい下着きてんじゃん、俺のため? う〜れし〜いな〜」
もうっ、この自惚れやめ、でもいいや、あん、好きなようにしていいよ、今日はさ‥‥って、もう、コノヤロ、弱みにつけこんで〜
「はい、じゃ、おれが洗ってやるじゃん、『ヤダ』は当然なし」
うっ、こんな形で『男のファンタジー』とやらを実践しとんのかっ、コイツめ‥‥
シャワーをかけられて、あわだらけにされて、あちこち触られて、これで声出すなっつーほうが無理よ‥‥
んぐ、口をふさがれた、カンクロウの舌が歯列を割って入ってくる。
ざらざらした感触で私の口の中を遠慮なくかきまわす。
わ、直に肌がふれてる、どうやらカンクロウも裸なんだ、うへ〜、なんともエロい情景‥‥
狭いシャワー室で、動きのとれない状態でさんざん愛撫されて、もう半分できあがってるよ、ワタシ‥‥
きゃあっ、かつぎあげられたっ、これって、立ってやるってコトっ
「手でちゃんと肩につかまれよ、いくぞ」
律儀に指南してくれるとこが彼らしい。
うわっ、こんな態勢もアリ、なの、うっ、うわっ、お、重くないのかな、ひっ‥‥
自分がおもちゃの人形になったみたいな錯覚をおこしそう、軽々と私の腰を掴んでダンスでも踊るみたいに‥‥
見えないから、カンクロウの息遣いだけが耳に響いて、なんともやらしい〜、う、うぐっ、この態勢はかなりヤバい‥
「ちょっと、降りろよ」
いきなり降ろされて床に膝ををつくみたいな感じで立たされた。
「手、つけた方が楽じゃん」
前倒し?
え、これって、四つん這いじゃない‥‥
きゃあ、後ろからですかっ、アタシこれは、ちょっと、なんか、もう純粋にソレだけって感じで、あさましいような‥‥
「気にすんな、 が感じてくれたらそれでいいんじゃん」
後ろから耳元に、悪魔的なささやき声。
カーッ、体が熱くなる、やだ、何にもいってないのに、なんでお見通しなのよっ!
ウエストわし掴みにされて、は、始まった、例の動きが‥‥
どうも、私は恥ずかしい方が感じ方が激しいようで、ま、まいった、ちょ、ちょっと、や‥‥
つかまろうにも、肝心のカンクロウは後ろだし、う、腕のやり場がなくって、壁にすがるしかないじゃないっ、きゃあああっ
「ささえてやるじゃん」
がしっと、逞しい腕が左後ろからのびてきて、私の体をからめとる。
右手は腰をつかんだまま大柄なカンクロウの体が私の背中から覆いかぶさるように密着してくる。
叩き付けられるような律動。
あいてる手で胸や敏感なとこを愛撫してくるカンクロウ。
疼くなんてものじゃない、絶え間なく襲ってくる感覚に息もつけない。
激しい波にもみくちゃにされてぐるぐるまわる木の葉のように、意識が遠のく。
暗い夜空に打ち上げられた花火みたいに火花が四方に飛び散った‥‥

「お〜い、 、おきてるか?」
カンクロウが目隠しを取りながら、ぐったりした私を少し心配そうな顔でのぞき込む。
え、ああ、はい‥‥
「お前、感度良すぎじゃん、大丈夫か。」
床にへたり込んでる私。
はあ、なんとか‥‥
「ごめん、しょっぱなからヤリすぎたかもしんないな、つい、張り切り過ぎちまったじゃん。
俺も大分たまってたからよ、わりい」
え〜そうなの? そのわりには、演技派だね、全然冷たかったじゃない、ここんとこ‥‥
「フン、そうでもしなきゃ、 から動きゃしねえじゃん。」
あ、言えてるかも‥‥
ああ、気が抜けたら、だるい‥‥眠いよお‥‥
「おい、もうおねんねかよ〜、もうちょっと、粘れよ」
そんなこと言ったって、夕べ眠れなかったんだもん、心配でさ‥‥おまけに今はアルコール入ってるし‥‥
「ったく、やっかいだなあ、 は」
ねえ、一緒に寝よ?
「は?」
だって、いっつも帰っちゃうじゃない、いっしょに寝たことなんてないでしょ。
「ま、まあ、それはそうだな。って、お前だって、帰らなきゃオヤが心配するじゃんか」
いいの、今日はイトコんちに泊まるって、アリバイつくってあるから。
「悪い奴だな、大丈夫かよ」
大丈夫、もし、カンクロウにふられたら、そこに泣きにいくつもりで、話つけといたんだから。
「‥‥俺にふられたらねぇ‥‥わかったよ」

宿直室みたいなかんじの場所だからぜんぜんロマンチックではないんだけど、それでも。
カンクロウと一緒に布団で横になっていられるだけで、すんごく幸せ。
今日は帰っちゃわないんだもん、朝目を覚ましたら、カンクロウが横にいてるんだ〜、嬉しい!
「ぜんぜん夢のない場所でわりいな、ほんとにいいのかよ、こんなとこでさ」
いいの、いいの、あ、でも、他の人来ない?
「大丈夫、結界はってるから」
‥‥あてになるのかな、前、簡単にテマリちゃんにやぶられてたじゃない。
「失敬だな、あれから腕あげたんだからよ、もう俺だって上忍だぜ、超上級レベルじゃん、心配すんなよ」
なら、いいけどさ‥‥
ふあ〜、ねむたい〜、カンクロウと一緒‥‥うれし‥‥グ〜

やっぱり、ちょっと環境がいつもと違い過ぎたのか、夜中に目が覚めた。
だいたい、飲んだ時はやたら眠くなるけど、その後一旦目が覚めるとなかなか寝付けないのよね、私。
隣で規則正しく寝息をたてているヒト。
きのうのデートを思い出して(デート、かい?)ひとり赤面する私。
でも、仲直りできてよかったぁ‥‥
あ、チャンス、なかなか拝めないカンクロウの寝顔をこの機会に堪能させてもらお。
いい具合にぼさぼさにつっ立った、ちょっと長めの髪。
かたちのいい眉、高くてちょっと大きな鼻、かすかに歪んだ唇、がんこそうなあご。
ふふふ、例の薄緑の三白眼が閉じてるからじっくり見れちゃう。
強持てだけどちょっと小心者で、意地悪なくせに根底はやさしかったりする、そんなとこがカンクロウの魅力。
まあ、その、私には欠けてるスキンシップへの積極性も、大いに評価しなきゃいけないのよね、今回の反省からして‥‥
だって、すごく寂しかったもん‥‥
体と心って、別々じゃないんだわ‥‥
う、また涙がにじんできた、いけない、いけない‥‥ごしごし‥‥目をこすってたら、あれ?
え、ちょ、ちょっと、カンクロウの目あいてるよ、なんで?!
さっきまで閉じてたじゃないっ、やだ、もう!!!

「カワイイ彼女から、そ〜んなに熱い視線送られたら目が覚めちゃうってもんじゃん。
おまけに、泣いてんのに、しらんぷりもできないじゃん」
あっというまに、逞しい腕の中に取り込まれてしまう。
「なんで、泣いてんの」
い、いや、たいして深い意味はなくってさ、そ、その、‥‥
「仲直りできて、よかった〜、ってか」
くそっ、お見通しじゃないのさっ、私ってそんなに分かりやすいのかしら、もう!!
「もっと、仲良くなろうか〜」
ひゃあっ、いきなり首筋なめられたっ、鳥肌たってるよっ、わたしったら!!!
から起きたんなら、遠慮なく続きできるよな。
さっきはあんまり気持ちよさそうに寝てたから遠慮したんだけどよ‥‥やっぱしオレも凡人だから我慢きかねぇじゃん」
ど、どこが凡人なのよっ、きゃあっ、いきなり組み敷かれたっ。
「いっぺん、やりたかったんだよな、もういいだろ、いい加減妥協してくれよ‥‥」

首筋にあった舌が胸を通過して、どんどん降りていく。
うわあ、し、舌ですんの?!
やっぱ恥ずかしすぎ、んでもって、やっぱ、抵抗あるなあ‥‥
「また、『キタナイ』か?いやなら自分からはじめっかよ、バカだな、 は。
これも男のファンタジーじゃん、舌でイカセるってのもよ」
もう、恥ずかしいを通り越してるセリフよ‥‥あん、感じる自分がなんか、なんか、‥‥
「頭使うなよ、感覚だけでいいじゃん!俺に任せろよ!」
ま、任せるの?!うっ、ぐっ、這い回る舌がまるで蛇のような錯覚を起こしちゃう。
の手じゃま、妨害すんなよ」
容赦ない声、あれ、手が固定されてて動かせないよ、なんで、なんにもないのに?
「ふふん、今日はちょっといたぶってやる、我慢させられたからな」
え?え?え?いたぶるって、な、なによっ、ちょっと〜、これって忍術?ずっこい〜!!!!
足は固定されてないけど、実質、カンクロウのごつい腕で抑えられてるんだから、同じこと。
は、恥ずかしい、けど、すごく感じてしまってるのも、じ、事実で‥‥
「すんげ〜濡れてるぜ、もや〜らし〜なあ〜」
もうっ、おちょくんないでよ、誰のせいよっ、きゃああっ
「だめ、やっぱ、おれの方が我慢できないじゃん」
急に体ごとのしかかってきた!!
「エロいのイク表情見てたいと思ったんだけど、な。ま、また次があるじゃん」

「足、貸せよ、
ひょいっと私の片足を自分の肩に担ぎ上げて、うわ、いきなり来たっ!
「この方がもっと『一緒』じゃん?な?」
こ、この期に及んでそんな昔の話を蒸し返さなくてもいいじゃないのよっ、っつ、‥
「体柔らかいといいな、色々試せるじゃん」
じゅ、十分研究なさってますよお、うわっ
今日は顔が、正面にきてて、は、恥ずかしいけど、なんか、嬉しくて、み、見ちゃうわ‥‥
あ、汗かいてる、まあ、こんだけ激しく動けば汗もでるよね、って、わたしもそうか‥‥
猛禽類を思わせる緑の瞳がなんとも真剣で、どき〜んとする、と、か、感じてしまうのよね‥‥
つ、突き上げられる度、痛いんだけど甘い、疼くって言葉が多分ぴったり、な、‥‥

同じようにゆれてた私たちは、絡まりあったまま、同時にのぼり詰めたみたい‥‥
いっしょにどさっと、ふとんに崩れ落ちた。
「ま、まいった‥‥俺もゲンカイ」
‥‥いいよ、もう、十分じゃない‥‥
「ん〜、本当は一晩中頑張りたいんだけどなあ」
そ、そんな非現実的な話、エロ本でしかありえないわよっ、本当にできるワケないじゃないっ!
「お、そんなにむきになんなくてもいいじゃん。こんなもんは男にかかってんだから、俺次第じゃん」
で、でもっ、今いってたじゃない、ゲンカイだとかなんとかさ。
「いやあ、このラウンドはな、ってことだよ。じき元気になっちゃうから」
お、恐るべし、体力。
「忍者やってるヤツはスケベが多いんだよ。
いつ死ぬかわかんねえから、生きてるって実感できる瞬間がすげえ、大事なんじゃん」
え、縁起でもないこと言わないでよ。
で、でも、明日も任務なんでしょ、無理したら支障が出るよ?
「オレ、仕事とプライベートはきっちり分けるから、大丈夫」
うわ、手のばしてきた、って、なんで手が触れただけで感じちゃうの、私はっ。
「はあ、だいぶイッちゃってるみたいだなあ、 ちゃん」
な、なんでよ?
「触っただけで、じんじんしてんだろ?図星?」
うっ‥‥‥
「じゃあ、こんなことしたら、もう天国行き?」
きゃあああ、抱きよせられた、だけ、なんだけど、びりびり電気ショックが走ったよう。
「あ〜あ、かわいいなあ〜、そんなに感じてくれたらもう、男冥利につきちゃうじゃんよ、たまんないね」
く、くそっ、いいようにオモチャにされてるような気がする‥‥
「フン、おもちゃにされてる、とか思ってんだろ」
う、なんでばれるのよっ
は本人が素直じゃない分、体が正直なんだよなあ〜ほれ」
きゃあああっ、なでまわさないでってば!びくびく痙攣するよっ
「‥‥おもちゃになんかしてねえよ。惚れてんじゃん、バ〜カ」
う、うれしいこと言ってくれるじゃない。
わ、私だって、大好きだもん!
「けなげだねぇ〜、大変じゃん、こんな変態だと思ってなかっただろ?」
うっ、そ、それは、そうだけど、もう、仕方ないじゃない?
惚れた弱みよっ!

‥‥カンクロウはいつだってマイペースで、なんか翻弄されてばかりな気がしてた。
でもちゃんと私のこと見ててくれてるのが、今ならわかる。
‥‥まあ、だからって、こっちのペースにあわせてくれるかというと、そんなこともないんだけどさ。
でも、いいんだ、私に合わせてたら、きっと煮え切らないままよ、何もかも。
文句いいながらついてく、情けないけど、これが私のスタイルですよ。
きっと、変えようと思っても無理なんじゃないかな。
カンクロウはこんな私のことあきれながらも、それはそれでわたしの個性だから、とかいって、別に気にしたり、変えようと強要したりは一切ないのよね。
放りっぱなしといえばそうなんだけど‥‥
考えようによっては、私も自分のペース変えるのやなんだわ‥‥それって、マイペースってことかな。
じゃあ、カンクロウと同じじゃない。

「な〜に考えてんの、 ちゃ〜ん」
ハッ、忘れてた、今の状況を‥‥
「ったく、オマエすぐトリップすんじゃん、何妄想してんのか知んねえけど」
も、妄想?失敬な!
「妄想っていえば、 には、俺のファンタジーに対抗するファンタジーってねえの?」
何よそれ‥‥
「だ・か・ら、よく女は白馬に乗った王子様を待ってるとか、あるじゃん。
オマエにはそういうの、ないの?」
え〜、なんだろ、あると思うんだけど、急に思い出せないよ。
カンクロウのって、でも、何?
はっきり口にしては聞いてないもん。
「聞きたいのかよ、マジで?」
うん、興味ある〜。
「‥‥引いても知らねえぞ。俺の女とエロを極める。
その第一段階として、48手全部試す、まずはコレだな」
そ、それって、体位のバリエでしょ、マジィ?私と、ですよね‥‥
「他の女とやっていいのかよ、このバカ」
いや、そりゃ、だめだけど。
「忍者なんかやってっと、やっぱ体術が多いから、体に関して色々知識も必要なんじゃん」
か、関係ないと思うけどね、接近戦苦手なんでしょ?
たんなる好奇心、もしくはスケベでしょうが。
「ま、な。」
ニシシ、と笑うカンクロウ。
それに、第一段階ってのが気になるなあ。
第一があるなら、第二もあるわけじゃない。
「お、よくぞ聞いてくれたじゃん。
もちろん、第二段階はオリジナルでいくんじゃん」
あ、そうなのですか‥‥
まあ、無邪気と言うか、明るいエッチというか、本当にくったくないなあ。
私は‥‥う〜ん、ファンタジーといえるかどうかわかんないけど‥‥
あんまり女の子扱いされた事なかったから‥‥
いつかはわたしのことをちゃんと特別扱いしてくれる人が現れる日を夢見てたなあ。
女の子、というか、一個人として尊重してくれるというか。
「ふ〜ん、青虫状態だったわけか」
あ、青虫ねえ‥‥じゃあ、今はチョウチョウだと思っていいの。
「いいんじゃないの、オレが捕まえちゃったけど」
へへへ、嬉しい〜。
「で、ベッドの方の空想物語はないのかよ?」
え〜、‥‥‥エッチなまんがとかには結構興味あったんだけど‥‥
ストーリー的に話せと言われると、よく思い出せないの‥‥別に隠してなんかいないんだけどなあ‥‥
でも、こう、強引なくらいに引っ張っていかれたいという願望はあったような、気がするなあ。
女の子扱いされてなかったから、俺の女になれ、みたいなノリには弱いような‥‥‥
「じゃ、俺、合格、百点満点じゃん」
じ、自分で言わないでよ、本当だけど‥‥‥さ。
でも、憎まれ口ききながらも、本当はわかってるんだ。
私ってば、カンクロウに捕まって、もとい、彼を捕まえて、ラッキーってか、幸せ者なんだって。
まじまじとカンクロウを正面から見つめる。
「な、なんだよ、急に」
「ん〜、カンクロウ、大好き!!!!!」
普段と違う展開にびびるカンクロウにわたしから抱きついてぎゅっとする。
な〜んか、本当に幸せなんだ、って、実感したから‥‥‥
わたしが抱きついてる上から、カンクロウが腕を重ねてきて、ぎゅっと、返事が返ってくる。

しかし‥‥
「じゃあ、アイシテル、とか、言えよ、大好き、じゃものたんないじゃん」
えっ‥‥‥あ、あ、あ、あ‥‥‥
「きっこえねえよ〜?」
人の悪い、いたずら坊主みたいな薄緑の瞳をキラキラさせてまっすぐ私を覗き込む。
もう、私が照れ屋なの知っててわ〜ざとこういうことすんのよねっ!!!
「ほ〜ら、赤くなってきたじゃん、ひひひ、でも、言うまで勘弁してやんない」
な、なによっ、カンクロウだって、言ってくれてないじゃないっ
「あ、そう。じゃあ、アイシテル」
平たんな抑揚のない言い方!
そ、そんなの、全然誠意っつーもんが感じられないでしょうがっ
「タマニハ、 カラ、イエヨ」
横向いてひじで自分の頭支えながらニヤニヤこっち見てやがる〜。
くっ‥‥‥カ、カンクロウのこと、あ、あ、あ、愛してるっ!!!!
もう、やけくそよっ!!本当のことだけど、恥ずかし過ぎ!!
目を閉じて叫ぶように言うや否や、カンクロウの胸に顔を埋めてしまう。
「くっ、くっ、くっ、よく言えたなあ、偉い偉い。
‥‥あんがとよ。
俺も のこと、愛してるじゃん」
しっかり私を抱きしめて、耳元でそっとささやいてから、耳を甘噛みする彼。
目を閉じたまま、心地よいやさしい愛撫と、襲ってきた睡魔に身を委ね、眠りの中で夢に溶けて行く。

‥‥‥目が覚めたら、あ、あれっ、自分の部屋‥‥?
なんで?カンクロウはどこ?
一緒に朝を迎えられるって、すごくうれしかったのに‥‥
夢?じゃないよね、そんなはずないよ‥‥
え〜、どうなってんの‥‥
ふと、窓際をみると、チューハイの空き缶にコスモスが一輪、さしてあった。
ちょっと、あの空き缶じゃないのさ、もう、信じられない!

‥‥いっちゃったのか、残念‥‥
でも、花一輪のこしてってくれるなんて、やるじゃない、なんか嬉しいよ。
たとえ、うちの庭の花でも、ね。
コスモスの花言葉って知ってる、カンクロウ?
『キミが好き』なんだよ、へへへ。
次会う時は、また、もう少し素直に自分の気持ち、伝えられたら、いいな。

 

*閉じてお戻りください*

 

蛇足的後書:え〜と、結構うちとしてはエロかもしれないです、気分を悪くした方がいたら申し訳ない。
プラトニックだけでは描けない、男としてのカンクロウの強引な魅力を強調したかったものでこんな書き方になっちゃった。
(だから裏なんですがね)
でもある程度彼も我慢してるので、許してあげて下さい〜、なんてね。