一人遊び
殺風景な部屋に一人寝転がる。
久しぶりに
に会える、と柄にもなく必死こいて片付けたってのにドタキャン。
自分は、任務だからとかなんとかしょっちゅうやってたことけど、こんなにがっかりさせられるものだなんて考えてもいなかったじゃん。
からの「ごめん、会えない」コールは初めてなんじゃねえかな。
「無理してでも会いたかったけど、‥‥医者でインフルエンザだって言われたから‥‥うつすといけないし‥‥ごめんね‥‥」
熱だけだったら何度あったって会う気だったんだろう。
鼻にかかったかすれた声から泣いてたのがわかった。
長びかせるのがいやだったから、あっさり、わかった、ちゃんと直せよな、とだけ言って切った。
‥‥‥
どどっと落ち込んだ、正直。
もうどれぐらい会ってねえかなあ。
‥‥まあ、オトコが自分の部屋に来いよ、っつったら下心ないわけねえじゃん。
俺もその予定だったから、にわか掃除なんかしたんだが。
俺の性格なんかもうバレてるから、散らかったままでも別にいいと言えばいいんだが、一応親しき仲にも礼儀ありだろ。
急にぽっかり空いた時間を持て余して、ベッドでごろごろしながら上の空で雑誌のページをめくる。
つまんねえな。
いつもならコーフンするようなグラビアみても全然、完璧つまんねえ。
全く食指が動かねえじゃんよ。
‥‥こんな赤の他人の女のみるからにやらせのポーズなんかより、何気ない時に
がみせた仕草の方が、正直何倍もエロい。
いっしょにハンバーガーくってて、はみ出たケチャップのついた指先を無意識にくわえた口元。
風になぶられた髪をまとめようとして首をかしげた時に見えた細いうなじ。
靴ひもがほどけてしゃがんだ時に背中から覗くジーパンと上着の間の色っぽい境目。
俺が服装に文句つけるとする、すねたような流し目。
‥‥キスしたあとの恥ずかしそうな伏せたまつげ。
おれはエロ本なんかほっぽり出して、本格的に
の姿を頭に思い描こうと目を閉じる。
俺の手の中にすっぽりおさまる、いつも少しひんやりした
の手。
からかうとすぐムキになって無駄に言い返してくる可愛い口元。
なでると気持ちよくて、いつまでも触っていたくなるやわらかい髪の毛。
‥‥その髪の毛から覗く耳をちょこちょこさわるとこいつが異様にくすぐったがる。
くすぐったいところというのは、つまり感じやすいということで、感じやすいという事は、つまりだな、感度がいいという事じゃん。
‥‥こないだフェイントかまして、いきなりその耳元にキスしたら‥‥
びっくりするようないい声が返って来たな。
どうも、ビンゴだったらしい。
しつっこく集中砲火をあびせたら蚊の鳴くような声で「やめて‥‥」と来た。
‥‥やめた俺は、本当のバカじゃんよ、大バカだ。
泣いてるみたいに聞こえたからつい。
ああいう時は泣かしたっていいんだよ、このマヌケめ。
今日は引かねえぞ、どうせ頭ん中だしな!
ぐいっと
をベッドに仰向けに押し倒しす。
‥‥無理矢理はやだが、ある程度の強引さがないといつまでたっても話がすすまねえ。
怖がらせないように、気持ちをほぐすように優しくついばむようなキスを繰り返し、だんだんと深く口を奪っていきながら、
の上に覆いかぶさる。
弱点の耳元をしつこく攻撃する。
だんだん声の抑制がなくなってくる
。
それにつれて俺の中のケモノも目を覚まし出す。
そいつの手が勝手に動いてボタンを外し、かわいいふくらみを弄ぶ。
いつのまにかそいつの唇も参戦してる。
だんだん物足りなくなって、スカートから伸びた足を逆さまに這い上がりだす指。
逆らおうとする
の声を閉じ込めるべく、また口で塞ぐ。
膝小僧や膝裏を丹念に探って徐々に太ももへ。
俺の指は最高にやらしくなってる。
の柔らかな肌の感触を堪能しまくる。
いきつもどりつ、じらしながらも向かう先は分りきってる。
すっと偶然のようにそこへ潜り込むと
のからだが固くなる。
怖がらないように、一旦やめてぎゅっと抱き締めてやる。
よくわかんねえけど、なんか、気の聞いたセリフを言ってもらおう、無責任な俺の口におまかせじゃん。
一応持ってる知識を総動員しながら、
の反応を確かめつつ愛撫を繰り返す。
波のようにあくまで優しく忍耐強く、
の理性を取り崩してやる。
俺にすべてをさらけ出せ、そして俺を受け止めてくれ!
俺も波になり、
とシンクロする。
大きなうねりが俺たちを飲み込む。
二人で深い海の底へと溺れて行く。
は〜。
目を開けると海どころか、ティッシュの山。
空しい。
ほてった体で一人寝転がる男。
別に抱けなくってもいい、でも会いてえんだよ。
‥‥そりゃ抱けたら言う事ないけどさ。
そんなことよりも、ただ寂しいんじゃん。
がおれのつまんねえ親父ギャグに顔を真っ赤にしつつ、ころころ笑う姿が思い浮かぶ。
ああ、もう!
強制的に予防接種はさせられてるからうつりゃしないさ。
邪念は一人で処理したから、さ、見舞いにでも行くじゃん。
俺は上着を羽織ると
の家を目指し、冷たい部屋を飛び出した。
*閉じてお戻りください*
蛇足的後書:拍手で頂いたヒントをもとに突発的に書きました。
正直たのしかったぜ!(笑)女の私には本当の所彼がどう思ってるかはなぞですがね。
あくまでもヒューマンなカンクロウを目指したつもりでございます(^^;)。
アイデア下さった方、有り難うございました<(_ _)>