*砂銘菓*

差し入れられた焼き菓子。
パッケージにニワトリのつがいの絵が書かれたその商品の
ネーミングを見て目をむくカンクロウ。

「げっ、砂コーチン?
鶏肉入りの菓子なんかアリかよ?」
テマリが鼻で笑う。
「お前はバカか?!
コーチンの玉子使ってるってことだよ」
「なんだよ、びっくりしたじゃん。
でもテマリだって最初はそう思っただろ、え?」
笑うだけで答えない所を見るとそうなのだろう。

菓子を頬張っているといらぬ好奇心がむくむくと頭をもたげる。
これを我愛羅に見せたらどんな反応があるだろう。
アイツは変に世間知らずだからきっと笑える反応をするに違いない。
オレと同じか、もしかしたら「砂肝いりなのか」とかなんとか。
見せたい、知りたい、言わせたい、あわよくばバカにしたい(無理)。

5分後、執務室にノックの音。
「入れ」
「よ、ちょっと休憩しないか」
お茶といっしょに例の菓子をちらつかせる。
「オレは甘いものは嫌いだ」
「そういうなって。
新しい砂名産だぜ、風影様が知っとかないでどうすんだよ」
よくイラストがみえるように菓子をずいっと差し出す。
我愛羅の目の上(普通なら眉のある位置)がぴくりと動いた。

(キタ!)

「これは‥‥」

(よっしゃ!)

「この里にこんなニワトリはいない」
「‥‥‥‥」
「すぐ回収して描き直すように言え」
「‥‥‥‥」
「どうした、カンクロウ」
「いや‥‥」
「お前は食わないのか?玉子アレルギーでもないだろう」
「‥‥さっき食ったからいい」

意気消沈して出て行くカンクロウと入れ違いで誰かが執務室に入った。

「風影様っ、こんなものでタンパク質補給をする必要はないでしょう?!」
バキの声だった。

 

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