*アタシ可愛い?*

「ねえカブト、私たち、一体いつになったら出番がまわってくるのかしらね。
もういい加減待ちくたびれたワ」

大蛇丸様が伸びた髪の毛をいじりながら、いつもの肘掛け椅子から問う。
「そろそろサスケを出さないと流れ的にまずいからって、 上層部が動き出したとかいう話ですけどね」
ボクはいつもの通り大蛇丸様の愚痴を聞き流しながらも、 背中にいる相手にはそうと気取られないように適当に相づちを打つ。

「この髪の毛もなんか、評判いまいちだし。
前みたいにストレートの黒髪に戻そうかしら」
また、その話ですか。
そんなに風評が気になるなら、殺し合いなんかで器を選ばずに、 キレイどころコンテストでもすりゃよかったじゃないですか。
「みなさんはまだ、包帯をとった大蛇丸様のそのヘアスタイルみたことないんだし、 はやまらなくても‥‥」

「アタシに逆らう気?」

出た。
ここのところ出番がなくていらいらのボスの地雷をうっかり踏んでしまったか。
チッ。
「どうなのよ?」
もう八つ当たりは勘弁して下さいよ。
ボクがいたから、3忍戦でもなんとか戻って来れたんですよ。
「そんなつもりは毛頭ありませんよ、大蛇丸様。 私はいつだって、あなたの忠実な部下ですから」

フン、といった顔でまたテレビに見入る大蛇丸様。
とりあえずは危機を脱した様だな。
そうそう、おとなしくテレビ通販でも見てて下さいよ。
ボクには相変わらず仕事がいろいろあるんですからね。
‥‥‥‥‥‥‥‥

「ねえ、カブト」
またか。
「はい、なんです、大蛇丸様」
白カブトの笑顔で振り向いて仰天、なんですかっ、その頭!
「最近は男でもポニーテールしてるじゃない、私もそこそこ若返ったし、今度からこれでいくワ」
じょ、冗談でしょう、そりゃ私の髪も見方によっちゃポニーテールですけどね、
その頭頂部で噴水のように結ぶのは、やはり音のドンとしての威厳を損ないますよ?
「アラ、何か気に入らないみたいね」
「そ、そういうわけではありませんが‥‥」

「ね、アタシ、かわいい?」

「‥‥‥」
「どうなのよ?」
「‥‥‥」
「ね、かわいい?」
YES以外の返事等あり得ない事を承知の上でも、カブトはどうしても口をうごかすことができず、
延々、大蛇丸の質問を浴び続けるのだった。

 

*閉じてお戻り下さい*