「ああ、大掃除なんてやなこった、どうせ汚れんだから意味ねえじゃん」
  年末は結構面白いテレビ番組があるんだから、とブツクサ掃除を手伝うカンクロウ。
  「‥‥ちゃんと年末に掃除をしないと、厄が落ちないんだ。
  ‥‥今年はきれいに落としてもらわんと困る」
  ごしごしと念入りにガラスを磨く我愛羅。
  今年はひどい目にあったので、なんとしても厄を落とそうと気合いの入り方が例年とは違う様だ。
  「やるしかないだろ、風影様の命令は絶対なんだからな」
  めんどくさがりだが、やり始めると徹底しているO型のテマリはがんがん掃除機をかけている。
「いてっ」
  カンクロウが指先を切ってしまった模様。
  「慣れない事するとこれだからいやなんじゃん‥‥」
  絆創膏を指先に貼付けようとするが、自分ではなかなかうまくいかない。
  ようやく貼付けられたと思ったら、指の形のまま、絆創膏がポロリと落ちてしまった。
  じっとその形を見るカンクロウ。
「‥‥おい、いったいいつまで絆創膏で遊んでいるんだ」
  なかなか戻ってこないカンクロウを呼びに我愛羅が来た。
  背中を向けていたカンクロウがくるっと我愛羅の方を向くと
  「十指穿弾!」
  前にならえ、のポースで指先から絆創膏の指もどきを飛ばす。
  もれなく我愛羅の服にひっついてしまった。
  げらげら笑うカンクロウを白い目で見つめる我愛羅。
「‥‥まったく、少しは真面目に取り組め」
  言い捨てるとテマリのようすを覗きに戻る。
  こちらはこちらで掃除機が面倒になったようで、カマイタチでほこりをすっ飛ばしている。
  ‥‥しかし、これでは集塵ではなく、散塵である‥‥‥右から左にホコリが動いただけ。
「‥‥部下は選べても兄弟は選べんな‥‥」
所詮風影は孤独なのだ、とため息を友に、黙々と掃除をこなす我愛羅だった。
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