『にらめっこ』

「‥‥‥」
「‥‥‥」
さっきから勝負がつかないまま、時間だけが過ぎて行く。
「‥‥まだやってんのか‥‥ちょっとは動けよ、お前ら」
いい加減二人の無表情を見飽きたカンクロウが我愛羅とサソリに言う。

とたんに四つの冷たい視線が飛んでくる。
「‥‥そんな我慢のないことだから、こんな奴に負けるんだ」
「‥‥フン、傀儡師は感情的なやつには不向きだ」

双方に一度に痛いところを突かれてカッとなるカンクロウ。
「うるせ〜な!
我愛羅はコイツとやり合ったことねえだろ、偉そうなこと言うな!
サソリ‥‥(先輩)‥‥は、俺とは目指す道が違うんだよっ!」

今度は眼だけではなく、2人の顔がこちらを向く。
「‥‥だから、今してるんだ。
心配するな、次はカンクロウ、お前と勝負してやる」
「‥‥かわいい後輩をもっとちゃんと指導しないといけないらしいな」

三つどもえのにらめっこになるかと思われたその瞬間、カンクロウが叫ぶ。
「ほい、俺の勝ちじゃん!」
「「何?」」
「二人とも俺見てにやけたからな。
どのジャンルでも強いと思うなよ!」

思わず顔を見合わせる我愛羅とサソリ。
双方不覚にも子供のようにカッカしているカンクロウを見たとたん
口の端が持ち上がってしまったようだ。

さっと何事もなかったかのようにお互いを見据えて言いあう。
「‥‥今のはナシだ、俺はサソリと勝負してるんだからな」
「‥‥フン、くだらん余興がはいったが、ここからが本番だ」

この不毛な闘いを最後まで見届ける気力がカンクロウになかったのは、言うまでもない。

 

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