*なくて七癖*

人は考え事をする時、無意識に癖がでるものだ。
爪をかむ人もいれば、動物園の熊のように動きまわる人もいる。
鉛筆をくるくるまわす派もいれば、貧乏揺すりをする派もいる。
職業柄考えなければならないことの多い現風影にももちろん癖はある。
執務室に缶詰になり報告書を書かされているカンクロウは、
そんな我愛羅の姿を目の前にしてどうにも落ち着かない。

「なあ、我愛羅、トンズラしねェからどっかいってくんねえかな」
「だめだ、いつもそういってお前は逃げるからな」
「今日はうそじゃないって言ってるじゃん」
「信憑性が薄すぎる、日頃の行いを悔やめ」

しばし鉛筆をまわし、貧乏揺すりをし、爪を噛んで、ついには立ち上がってうろうろ。

もちろんこれはカンクロウである。
彼と同室にいる我愛羅はそんなお行儀悪い事はしない。
つねに同姿勢で兄を睥睨しているだけだ。

「なあ、落ち着かねえんだってば!」
カンクロウがなさけない声を出す。

「うるさい」

一喝。
「俺は集中しているだけだ」

でかい体を縮こまらせてウンウン言いながらも
カンクロウはなんとか報告書を書き上げた。

「じゃな、机の上に置いたから!」
「これに懲りたら次はもっと早く出せ」
「はいはいはい!」

部屋を飛び出るカンクロウと入れ違いでバキが入っていく。

「風影様!そのポーズはやめるよう言ったではないですか!」
「血の巡りがよくて考え事するにはいい具合なんだ」
「しかし、しかしですな・・・・」
「足裏のチャクラを練る修行にもなる」
「そうおっしゃられましても」
「文句ばかりいうな、早く老けるぞ」
「下忍の頃ならともかく、風影がそれは」
「絶対防御にこもるよりいいだろう」

バキはすごすごと退散した。

閉まるドアの隙間から何か白い繭のような物が上方に見えた。
それは逆立ちして天井に立っている我愛羅だった。

 

*閉じてお戻り下さい*