は、黒い、というのが定説だ。
  しかし。
  チームの弱冠一名がネイルアートという名の芸術にハマってしまったから、始末が悪い。
  爪に黒いマニキュアのかわりにもっといいものをつけてやるという話で集まった連中は、
  仕上りを見て仏頂面を隠そうともしない。
「おい、こんな装飾過多の爪じゃあ印も結べないだろうが!」
  しかめっ面で飾りを爪からはがしているうちはの元エリート。
「だからあんたはおっさんだってんだよ、その目の下のゴルゴ線はだてじゃないね、うん」
  せっかく苦労してうちはマークをかたどってやったのに、と不満そうなデイダラ。
「だいたいこんなビーズやらハートやらついてちゃ、
  泣く子も黙る暁がいい笑い者じゃないですか」
  鮫肌ならぬ爪ヤスリでつめをごしごしきれいにするキサメ。
「最近は男が華道やったり編み物したり、時代は変わって来てんだよ。
  そんな包丁振り回す無骨なだけのスタイルは終わりさ、うん」
  キサメの顔色をもっと青くしようと挑発する。
「あらら、ケンカっすか?」
  うれしそうに飛び入り参加する能天気男一名。
「‥‥なんでこいつの爪にはやらないんだ」
  トビならノリ的にぴったりじゃないか、といわんばかりのイタチ。
「喜んでくれる奴にしてもつまんないからね。
  抵抗がある方が説得しがいがあるってもんだろ。
  似合う似合わないはともかくさ」
  さっさとネイルアートの道具を片付け出すデイ。
「本当にあなたは神経逆撫で度でいうと木の葉の珍獣なみですね!」
  似合っていると言われても、似合わないとけなされても結局は腹が立つキサメ。
「デイダラさんの相棒なんて、こういうのどうなんですかね。
  人は見かけによらないって言うから、案外好きなんじゃないっすか」
  彼はものだけでなく、空気をスルーするのもおじょうずらしい。
ピュンピュンピュン!
  
  ビーズが彼らの頬をかすめて飛んでくる。
  「ほら、怒ってますよ、あっぶないなあ、
  あの人はなんでもすぐ投げたがるからね」
渦中の人サソリは目が覚めたら本体がラメでデコレーションされていることに気がつき、
  怒り炸裂、チャクラ糸をキラキラ放出しまくっている所である。
「デコ電ならぬデコ傀儡ですね」
  「‥‥このバカ!」
  「怖いもの知らずというか、能天気というか、参りますね!」
皆器用に飛散物をよけながら退却する。
「そうか、旦那は大人テイストのラメ入りは嫌いなんだな。
  じゃ次回はベビーフェイス向きのクマちゃんかなにかにしよう、うん」
そのアートが成功したかどうかは今の所不明だ。
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