本日はめずらしく3人揃ってお休みな砂3姉弟、仲良くこたつを囲んでみかんを頬張る。
「あ、それ俺の!」
  カンクロウが長い腕をのばしてすばやく一番大きいみかんをおさえる。
  
  「‥‥フン、みかんは小粒な奴が一番うまいのにカンクロウは分ってないな」
  ちまちまとみかんの皮をむきながら我愛羅が軽蔑気味にカンクロウを揶揄する。
  
  「そんなの、何回もむかなきゃならないから面倒じゃん。
  でかいの一個むけば作業回数減らせるからな」
  こだわりのある事以外はいたってめんどくさがりなカンクロウが、
  大きなみかんの房を口に放り込みながら返事する。
  
  「みかんは皮むきが簡単だから人気があるんじゃないか。
  だいたい、でかいみかんは皮はむきやすいかもしれないが、
  繊維もいっぱいついてることが多いからかえって面倒」
  白い部分が嫌いなテマリはいちいちそれを取り除かないと気が済まないらしく、
  今も手にしたみかんから慎重に繊維を取り除いている。
みかんの数が多いうちは住み分けよろしく、
  めいめいが自分好みのみかんを選んでいられたので良かった。
  問題はみかんの数が残り少なくなってきてからだ。
「それはでかくないぞ、取るなよカンクロウ!」
  「うるさいな、早い者勝ちじゃん!」
「‥‥いまのは一番小さかったぞ、おれのものだと思っていたが」
  「仕方ないだろ、カンクロウが中サイズに手を出したんだ、
  必然的に選ぶサイズがずれたんだよ」
「あっ、なんで2個も取るんだよ、ずるいじゃん我愛羅!」
  「‥‥早い者勝ちなんだろう」
いよいよ最後の一個。
  睨み合う3姉弟。
がらっとふすまが開いて、バキ登場。
  「なんだ、休みの日だってのに3人揃ってるのか、仲が良くて結構な事だ」
  さっと机の上のみかんを手にとり
  「兄弟喧嘩はいかんな、原因は私が除去しておく」
  と言うが早いか風のように出て行ってしまった。
目を点にしてとりのこされた3姉弟。
  「‥‥バキ流の気配りか?」
  「単に食いたかっただけじゃねえか」
  「先生だと思って油断したのがいけなかったな」
しばしの間。
カンクロウが消えたと思ったら、台所から新たなみかんを山盛り持ってきた。
「‥‥小さいのが多いな、じゃあ、俺のものだな」
  「何言ってんだ、功労者にちゃんと分け前よこせよ」
  「さっきのみかんを持ってきたのは私だぞ、自分だけが苦労してるような顔するな」
闘い再開。
  エンドレスな無駄な言い争い‥‥それとも、これが姉弟愛というものなのだろうか。
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