*期待はほどほどに*
繰り返し映し出されるいかつい黒装束集団。
「結構水着もいろいろ変ってんじゃん」
  ねそべって同じ画面を見ているカンクロウ。
  黒いタンクトップにごつい肩。
  レーザーレーサー姿のスイマーとかぶる。
(・・・ガタイは文句なく一流だがな)
アナウンサーの解説。
  「この水着着用で体が固定され、タイムが明らかに短縮されるそうです」
筋はいいはずなのに対サソリ戦でコテンパンにやられたのは
  技のキレがいまいちだったからだと聞く。
  ひょっとして彼のユルい衣裳がいけないのではないか。
  現に選手が水着を触るたびに自分まできゅうくつそうに体をよじっている。
脳裏でレーザーレーザーを着せてみる。
  黒っぽい色も手伝って、違和感ゼロ。
(・・・・いけるかもしれん)
接近戦=体術が苦手だというカンクロウだがなぜかこの衣装だとそれすら克服しそうだ。
が。
「まるで固いタイツじゃん」
その一言で現実に引き戻される。
  『タイツ』の一言で木の葉の緑軍団を連想してしまった。
「・・・・眉毛が整いすぎだな」
  「は?」
  「過剰な期待は禁物、ということだ」
さっぱりわけがわからないという表情のカンクロウを残し、
  孤高の風影はひと時の妄想を終えた。
*閉じてお戻り下さい*