「‥‥なあ、エビゾウじい様‥‥」
  「なによ、カンクロウ」
カンクロウはひとりぼっちになってしまったエビゾウが寂しかろう、
  と柄にもなくお見舞いに来ていた。
「じい様の年金って安いのか?」
  「お前の歳で、今から心配する事もなかろうに」
  「いや、そうじゃなくてさ、コレ」
ちょうど昼時だったのでジイさまの勧めるまま、一緒に昼食の席についたのだが、
  出された多種多様な総菜のほとんどの容器に、例の「半額」「お買い得」「30%引き」ETC.,の
  けばけばしい色のシールが貼り付いている。
「同じものを買うのに、安い方を買うのは当然。
  すぐ食べるなら同じ事よ」
そうかねえ、と思いつつとりあえず黙って相伴して帰路につくカンクロウ。
家につくとテマリが冷蔵庫へ買い出しの品々をしまい込んでいる最中。
  見れば見覚えのあるシール。
「おい、テマリ、そのシールさ‥‥」
  「なんだよ、同じものを買うのに、安い方を買うのは当然だろ。
  すぐ食べるなら同じ事さ」
デジャブのような光景に軽くめまいを覚えながら自分の部屋へ。
しばらくすると、ノックの音とともにバキが顔を覗かせる。
「おい、カンクロウ、風影様がお呼びだ」
なんなんだよ、また報告書がおそいとかいう小言か、とわかっているならさっさとやればいいのに、
  ぶつくさ考えつつ執務室へ。
「俺じゃん、入るぜ」
  「‥‥カンクロウか、そこへすわれ」
  ひとしきり小言を言われた後、珍しく我愛羅がカンクロウにお茶をすすめた。
  お茶菓子について来たバラ売りマロングラッセのパッケージには‥‥
「おい、我愛羅、このシールさ‥‥」
  「なんだ、いつもついてるじゃないか、それがどうかしたか」
  「‥‥いや‥‥いつもついてるのかよ‥‥」
部屋から出ながら、砂の緊縮財政は相当なものだ、
  これからは無駄遣いはやめようと思うカンクロウだった。
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