ブーン、ブーン、ブーン‥‥
  かるいうなりのような機械音を夢うつつで聞く。
  (ああ、洗濯機の音だな‥‥今日はオレの当番じゃねえからいいや‥‥)
  カンクロウは惰眠をむさぼりながら思う。
はたと気がつく。
  (しまった、ズボンにティッシュ入れたままじゃん、やべえ!)
寝間着のまま、大急ぎで洗濯部屋へ突進する。
  中をおそるおそる覗くと、幸い誰もいない。
  洗濯機を一時停止にして、ふたを開けると‥‥
案の定はなやかに白いものがちりまくっている。
  大きく舌打ち。
(くっそ〜、ついてねえなあ。
  こんなに朝早くから洗濯機なんか回すかよ?
  おまけに色物ばっかじゃん?
  もちっと待っててくれりゃ、朝飯の最中に思い出したかもしれねえのに)
勝手な事を思いつつ、テマリに見つかる前に大慌てで、
  洗濯途中の服をばさばさ払って白い紙片を取り除く。
がらっ
  突然戸が開いてテマリだ。
「何やってんのさ、カンクロウ?」
  「な、なんでもねえよ、変な音がしたから、洗濯機がこわれてんのかな〜と‥‥」
  「フ〜ン‥‥」
と、今度は我愛羅が顔を覗かせる。
  「カンクロウ、何をしている?」
  「だからっ、変な音がしたから、洗濯機が壊れてるのかと‥‥」
  「‥‥そうか」
が、床に落ちた紙くずで一気に状況がバレる。
  「「おまえ‥‥」」
  「な、なんだよ、ちゃんと罪滅ぼししてんだから、
  文句言われる筋合いじゃねえじゃんよ?」
「もうけ♪」
  「‥‥助かった」
  「なんだよ?」
  「ポケットにさあ、ティッシュいれたまんまだったの忘れててさ。
  まさかカンクロウが全部払っといてくれるとは思わなかったよ」
(ナニ?)
「‥‥俺もだ。
  今年の風邪はハナにくるらしくてな‥‥」
  くしゅっ、とハナをいじる我愛羅。
どおりでカンクロウのだけにしては、華々しく散り過ぎだったはずだ。
「おい、お前らも手伝え!」
  「もう、あらかたアンタがやってくれたじゃん」
  「‥‥乗りかかった船だ、最後まで頼んだぞ」
カンクロウは舞落ちた天使の羽根ならぬティッシュのくずと
  その場に取り残された。
洗濯もの入れにティッシュよけの結界は張れないのかと、
  その後バキはしつこくカンクロウに聞かれたらしい。
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