*仮面ライダー4*
まだ砂隠れが忍界大戦の傷跡から復興しようとしていた頃。
「止まれ〜っ!」
制止しようとする検閲の忍びを振り切って逃げる相乗り自転車。
ここ砂隠れではママチャリによる事故が増え、
安全面から同乗する子供は1人までと会議で決められた。
通常取り締まられる相手は民間人、取り締まるのは忍び。
勝ち負けは目に見えている。
が。
連日忍びのプライドをあざ笑うかのように、検閲をくぐり抜ける
自転車があるとの報告が、バキのもとにあがって来た。
しかもその輩、子供を3人も載せているとのこと。
取り締まるのは上忍であるというのにあっさりかわされてしまうらしい。
「ここはやはり風影様の判断をあおぐべきだろう」
民間人になめられていては、砂の忍びの信用にもかかわる。
4代目のいる執務室のドアをノックする。
「バキか、入れ」
「失礼します」
ドアの向こうには眉間にしわをよせ、書類をがさがさと片付けている4代目風影がいた。
「お急ぎですか」
「ああ、もうじき託児所が閉まる。
遅れると保育士から大目玉をくらうからな」
いいながらも砂忍につきもののタスキを双肩からかけ、
マザーバッグならぬファーザーバックの中身を確かめている。
嫌な予感がバキをとらえる。
「あの、風影様。お迎えは何で」
「もちろん自転車だ。
満足に動けない子供をつれて移動するのに他に手段はない」
4代目の装備を見る限り同乗者は複数、おそらく・・・3人。
「しかし・・・自転車に同乗できる子供は1人まで、
と先日の上役会議で決まったではないですか」
じろり、とバキを一瞥すると先代はバッグを背負った。
「俺は忍びだ」
「・・・はい」
「あれは民間人対象だ」
「・・・はい」
「だから関係ない」
「・・・はい」
「我愛羅の世話は誰にも任せん」
若輩者であったバキがカリスマ風影に面と向かって意見できるわけもない。
かろうじて提案する。
「で、ではカンクロウ様とテマリ様は私が迎えに・・・」
じろり。
ぎょっ。
「人知れず上忍の実力をはかるチャンスでもある」
「・・・はい(絶対嘘だ、単なるストレス発散だ)」
さっと目元まで風影ショールを引き上げると
仮面ライダーと化した4代目は夕暮れに向かって走り去ったのだった。
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