*実践*


サイの手袋はちょっと変わっている。

人差し指と親指だけ、先がない。

「絵筆が滑らないように、よね」

サクラが言うと、本人曰く

「それだけじゃないんだ」

「んじゃなんでだってばよ」

もったいぶった話が嫌いなナルト。

「『根』にいる者はみんな親を知らない」

「それは聞いた事あるけど」

「ボクは覚えてないけど、ダンゾウ様によると
昔はすごく人見知りが激しかったらしい」

「お前がかあ?」

「うそみたい・・・」

「物かげで指をくわえてばかりいたんだって聞いた」

指しゃぶりで活躍するのは親指と人差し指だ。

「そのせいでいつもこの2本の指先が破れて、
いつしかそれがボクのユニフォームになった、と」

「・・・・そうだったの」

「なんか、かわいそうだってばよ・・・」

サイの本日の図書貸出カードには

『読本:敵を騙すにはまず味方から』

と書かれていた。

 

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