『愛Tunes Music Card』
「へえ、こんなとこでも愛Podのカード買えんじゃん」
「どれどれ」
ようやく砂に生還した我愛羅のために
姉と兄でささやかなパーティーを開こうと買い出しにでた彼ら。
どうしても少年マンガ週刊誌を立ち読みしたい、というカンクロウに
しぶしぶつきあわされて入ったコンビニでの会話だ。
「まったく、商魂逞しいじゃんよ」
「まあ、ターゲットは若者だから、いい線いってるんじゃないの」
「‥‥‥‥‥俺も買おっかな〜」
「ほれみなよ、すぐひっかかるんだからアンタは」
店頭で買えるのは1,500円と3,000円のカード。
ショッキンググリーンとショッキングピンクをバックに
ダイナミックなポーズをとる男女が描かれたあれだ。
「なあ、何かさ、これってオレに似てねえ?」
カンクロウが指差すのはグリーンのカード。
「フン、お前がこんなイケメンかよ?
なら、このビキニの美女は私ってことだな」
ピンクのカードを指差すテマリ。
「へっ、自信過剰だな‥‥いててててっ」
テマリに思い切り耳をつねり上げられるカンクロウ。
「愛Tunes Music Cardカードをお求めですか?」
すかさず店員がにこにこと尋ねる。
なんとなくお祭り気分の二人は顔を見合わせ、
ま、いいか、と財布を取り出す。
もちろん自分の買い物は自分持ち、シビアな年子関係だ。
「あ、お待ちの客様はこちらへどうぞ」
素早くもう一人の店員がテマリをもう一つのレジへ呼ぶ。
さすがコンビニ。
二人はそれぞれカードを持って店を出た。
「ほら、やっぱ似てんじゃん」
さっそくご機嫌なカンクロウがカードを取り出してテマリに見せる。
「ふん、そうかね‥‥あれ、お前のカード幾らだった?」
「へ、1,500円だろ」
「え、私のは3,000円だったぞ」
「ええっ、値段違うのかよ?!」
しげしげとピンクのカードを見るカンクロウ。
テマリがニヤっと笑う。
「やっぱり、値段に出るんだな、価値が」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
それ以降、カンクロウはコンビニへは一人でしか行かなくなったそうな。
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