ガチャン。
「こいつ!サギじゃん!」
カンクロウが自販機前でまた文句。
「どうせ違うのが出てくるとわかっているなら何故そこで買う?」
以前も温かい商品を買おうとしたら冷たかったとか
オレンジジュースを買おうとしたら缶コーヒーがでたとか
そんな話ばかり聞かされていた我愛羅があきれて言うと、
「でもな、このギャンブル性がたまんねえんだよ」
ばかばかしくなって、その場を去る我愛羅。
次の日、カンクロウがまたもやそこで運試しをしようとやってくると先客が。
「お前‥‥なんでここで買うんだよ」
「‥‥フン、別に」
見れば、我愛羅の両手には山ほどの缶やペットボトル。
「お前、そんなに買ったのか?!」
「カンクロウがいつも違うのばかり出ると文句を言うから、
真偽のほどを確かめに来ただけだ」
「で?」
「表示通りの商品しかでない」
「嘘付け、ほら、俺が買うとさ‥‥」
ガチャン。
「あれ?」
「ほれ見ろ、見本と同じじゃないか」
「おっかしいな、絶対違うの出るんだって」
ガチャン。
「え〜、なんでだよ!」
「ばかばかしい」
「それだけ買ったお前の言うセリフかよ、こうなったら総当たり戦じゃん」
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャン‥‥‥
「やたっ、当たり!」
「外れの間違いだ!
大体、この大量の統一感ゼロな飲料をどうする気だ」
「何言ってんだよ、お前だって片棒かついでんじゃんか!
今夜の長老会で出せばいいだろ」
「‥‥あそこでは飲み物は茶と決まっている」
「いいじゃん、頭固いな、お前こそギャンブルが必要だぜ」
夜の会議室。
いつもと違うてんでばらばらでうれしそうな
飲み物が並ぶテーブルをいぶかしがる長老達。
見るから激渋な彼らにミックスジュースは似合わない。
「静粛に!では会議を始める」
我愛羅が司会をする一方で、部外者気分でのんきにコーラの兄。
「‥‥では、カンクロウから意見を言ってもらおう」
ぶっ
「な、なんで俺なんだよ?いつも最後じゃん?!」
「決まり通りに行かないのがギャンブルなんだろ。
お前を見習ってルールに捕われるのはやめにする」
我愛羅に一旦目をつけられたらあとが祟る。
自分のうかつな言動を後悔しつつ、
冷や汗タラタラで言葉をひねり出すカンクロウだった。
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