*ファッション*

「ねえ、シカマル」
「なんだよ」
「暗部って給料安いのかなあ」
「‥‥なんでそんなこと聞くんだよ?」
「だってさ、こないだ俺たちにちょっかい出して来た男、え〜と‥‥」
「サイ、か?」
「暗部あがりなんだろ」

木の葉ではカカシ班が新しいリーダーとサスケの補充メンバーを加え、
任務に向かった事はもう周知の事実だ。

「あんまり大声で言うなよ、ま、どうせ皆そのことは知ってっけどな」
「あいつ、あんなぴちぴちのシャツ着てさ、腹丸見えだったじゃないか。
子供服着てんのかと思ったよ。新しい装束買う金もないのかな」

「‥‥‥何バカな事いってんだよ。あれは最新ファッションなんだよ。
ほれ、イノだって、腹出してるだろ」
「女は別だよ、でもあいつ男だろ。俺には理解できねえよ」
「まあ、ひとそれぞれってことさ」

団子を頬張りながらチョウジが続ける。

「それにあのズボン。
おれも子供の頃、前と後ろの区別がつけらんなくて、逆にはいてさ、
あんな風に半ケツになってて、父ちゃんに叱られたよ」
「‥‥前後がわからねえほどバカじゃ暗部は勤まらねえんじゃないか‥‥」

「それもそうだな。ま、何にしろ俺はあんな衣装はごめんだよ」
「‥‥‥そうだな‥‥‥」
先に席を立ったチョウジの貫禄十分の後ろ姿を見ながら
シカマルがつぶやく。

賢い彼は口にこそ出さなかったが、
(お前の気に入らなくてよかった)
と思っていたのは明白である。

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