『駄洒落』
  
ソファに寝転がったカンクロウが何やら子供向けの本を見ながら一人受けている。
「く、くだんね〜」といいつつも大笑い。
「‥‥一体なんの騒ぎだ」
人が仕事に集中しようとしてるのに、なんだ、と不機嫌そうに、
しかし実はかなり興味津々で、我愛羅が覗き込む。
  「ああ、我愛羅か、ガキどもから没収したオヤジギャクの本じゃん」
  「‥‥それがそんなに可笑しいのか?」
  「まあ、聞けよ。
  『ふとんがふっとんだ』
  『イルカはいるか』
  『イカさないイカ』」
  
  憮然とした表情の我愛羅。
  「‥‥それがどうした」
  「どうもこうも、このくだらなさがいいんじゃん。
  ほれ、まだあるぞ。
  『鼻毛がハーナゲー』
  『サンマ三万円』
  あ、これいいじゃん『校長先生絶好調』!」
  
  「‥‥下らなすぎてめまいがする‥‥」
  我愛羅は首を振って部屋からでた。
  
  廊下の中ほどにある鏡の前で立ち止まった彼は、あたりを見回し人気のないのを確かめると
  やおら鏡に映る自分に拳銃を構えるポーズをとる。
  
  「‥‥砂のスナイパー我愛羅だ」
廊下のつきあたりでカンクロウが涙を流したのを彼は知らない。
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