「先輩と歩くと目立つんすかね〜、やったら女の子の視線があついんすけど」
デイダラと連れ立って歩くトビが言う。
例のマント姿ではないから、色男ぶりが際立つデイダラと、
ぐるぐるオレンジが異様に目につくトビと。
この2人が一緒にいれば人目につかない方がどうかしている。
「トビ、おまえさ、その仮面なんとかなんねえのか、うん?
正気じゃないぜ、任務中ならいざ知らず」
「え〜、だってこれはもう俺の一部ですからね。
取ったりなんか出来ないっすよ、ムリムリ」
「なんだよ、鉄仮面みたいにはずれないのか」
「そうじゃないけどもう素顔みたいなもんすよ」
「‥‥とんでもねえ素顔だな、うん」
見れば見るほど摩訶不思議な仮面ではある。
片方の穴からはかすかに目が覗いて入るものの、
それも注意しないとただの穴が開いているようにしか見えない。
表情が読めない、見えない。
「ははは、クールでいいでしょ」
「‥‥そのくせ、なんでこんなにトボけた野郎なんだよ、お前は?
普通仮面の男は渋いと決まってねえか、うん」
「失礼だなあ、デイダラさんは〜。
服は黒ずくめ、手袋までして素肌は一切みせず。
俺って充分渋いじゃないっすか」
「暑苦しいだけだろ」
「ひどいな〜、3尾をやっつけたのにまだ認めてくれないんだ〜」
「だからあれは俺のサポートがあったからだっていってんだろ〜が!」
「つれないっすね〜‥‥‥」
急に黙りこくるトビ。
始めは知らん顔だったデイだが、だんだん気になってくる。
「ったく大の男がそんなことでしおれてんじゃねえよ、うん?
おい‥‥‥まさか、泣いてんのか?」
「‥‥‥」
「それとも寝てんのかよ、また、ええ?」
「‥‥‥」
「何とか言えよっ」
「‥‥‥先輩って、ホットだな〜って、ハハハ」
路地裏で爆発音と『ギャー』という悲鳴がして大騒ぎになったものの、
消防隊が駆けつけたころには誰もいなかったそうな。
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