『コーヒーゼリー』
 う〜ん。
    苦みの苦手なカンクロウはさっきから、コーヒーゼリーを前にフリーズしていた。
    
  料理が大の苦手な彼女が今日は何か作ってあげるから、と宣言。
  
  「いきなりご飯とかはできないから、お菓子でがまんしてネ」
  甘いものが結構好きなカンクロウは一も二もなく頷いた。
  
  しかし、考えてみれば予想できない展開ではなかったはずだ。
  大のコーヒー好きでどちらかというと甘いものは苦手な彼女。
  デートでカフェにはいってもケーキをたべているのはいつもカンクロウ一人。
  
  
  が、ここでどうしたものか、などと考えている猶予はない。
  今食べなければ、彼女は二度とカンクロウに料理等してくれなくなるだろう。
  ‥‥それだけは避けたい。
  
  カンクロウが甘い物好きなことは先刻承知の彼女、きっと苦みは少なくしてくれているに違いない。
  決心を固めて一口スプーンですくって口に運ぶ。
  苦い!!ほとんど薬だ。
  むりやり飲み下したものの、もう一度口をつけるのは拷問に等しい。
  
  「どう?」
  「‥‥だめじゃん‥‥苦すぎて、食えねえ‥‥」
  正直がウリのカンクロウ、本音がでてしまった。
  
  「そっか、カンクロウは苦いのダメだったね、ごめん。
  
  じゃあ、我愛羅にあげる、砂肝好きなくらいなら苦いの平気だろうし」
  
  なにげに彼女が言ったセリフだが、カンクロウが速攻でゼリーを平らげるのに十分な起爆剤にはなった。
  
  
  その後、しばらくの間、我愛羅はなぜ、カンクロウが自分のことをとがめるような目で見るのか悩んだそうな。
   
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