*コート争い*


「あ、それオイラのコート!」
「困りますねえ、私のコートはどこです?
私が一番背が高いんですから、間違えてもらっちゃ困りますよ、他のはみんなちんちくりんなんですから」
「コノコートジャナイ、クビマワリガキツスギテカオガダセナイ‥‥」

暁のアジトで一斉出動前の恒例の大騒ぎ。
「え〜、みんな自分のコートが決まってるの?
暁ってもっとストイックな集団だと思ってた」
間の抜けた声で天然新メンバーがひとごとのように言う。

「‥‥どういうことだ?」
キサメにコートを返しながらイタチが新入りに聞く。
「だってね、教会の神父さんとかはパンツだって自分のものじゃないんでしょ。
暁ってさ、目的達成のための秘密結社だからさぞかし、ストイックなんだろうと。
それをコート一枚で出動前にこんなさわぎになるなんてさあ‥‥」

以前から気に食わない奴だと思っていた、と言わんばかりにデイダラがかみつく。
「それ以上言うと窒息死すんぞ、オラァ!」
先にノルマを越された恨みを密かに持つイタチが突っ込む。
「‥‥お前も木の葉の尾獣に似てきたんじゃないか、やたらうるさいぞ」
コンビとしてフォローしなければ、とキサメが追い打ちをかける。
「そうですね、監視役のサソリがいないから、ちょっとハメをはずしすぎなんじゃないですか」

トビがまた放言する。
「な〜んだ、仲間割れっすか?
なんだか、暁のイメージ壊れまくりだなあ〜」
みんなの額の怒りマークは彼の目には全く目に入らないようだ。
もっとも目がどこにあるのかもわからないので仕方ないか。

「‥‥トビはいい子だ‥‥」
もう一人のある意味天然なクワガタゼツがつぶやく。
「嘘付け!」
コーラス。

「こんなことで残る尾獣を狩れるのか‥‥‥」
ボスはすったもんだするメンバーを目の当たりにして、
新たな求人をかけるべきかどうか
透明な仮面の下で悩んでいる。

 

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