*ある任務*

敵ならぬ客は炎天下のプールにむらがる。
いつものマントは監視員の赤いTシャツに、
みのかさは野球帽にとってかわる。

「まったく水場なら私なんですかねぇ」
不満さあまって笑うしか無いといった面構えの鬼鮫。
「仕方ない、これも任務だ」
そういうイタチも弱った目に真日中の太陽光線はきつすぎるのか
顔をしかめて黒いサングラスをかける。
短パンから覗く日に焼けてない生足4本。

バシャバシャッ
水が跳ねる。
じろっ
鬼鮫が睨むも連中はまるで気がつかない。

プールサイドを走り回るガキども。
「走っちゃ駄目でしょう?!」
馬耳東風。

ザブーン
「飛び込みは禁止ですっ!」
ザブーン、ザブーン
知らん顔で次々飛び込む子供達。

「なんて礼儀知らずなんでしょうね!」
水分身登場、暗雲がたれこめるプール。

「おにいさん、かっこいい〜」
「ねえ〜、名前は?」

女達に囲まれるイタチ。
めんどくさいので返事をしないでいるのだが、
一向に取り巻きの数が減らない。

「なんか顔がとってもハードボイルドね」
「サングラスとってみてよ〜」

わざと日陰ではなく、照り返しの強い場所を選んで動くが
「日時計に影」のようについてくる。
おかしい、女に取って大敵ではないのか、この直射日光は。

「日焼けするぞ」
「やだ〜、ちゃんと日焼け止め塗ってるわ」
「UV対策は万全、ジョーシキよ!」
「なら赤外線でいくか」
「?」
「火遁・豪火球の術!」

赤外線グリルは遠火が基本。

「鬼鮫は水遁系で、イタチは集客力で
この任務には完璧なコンビだったはずなんだが」

今後、暁への任務依頼はないという文書を手にリーダーはため息。

世界征服への資金調達の道のりは遠い。

 

*閉じてお戻りください*